電気を高圧で24時間 365日、受電し稼働するキュービクルは、「電気事業法」という法律で定められた保安点検が必要です。 本来キュービクルの保守メンテナンスは、キュービクルを所有・利用している事業主自体が行うもの。しかしキュービクルは複雑な構造を持った変電装置であり、全ての事業主が電気や変電の知識を備えておられる訳ではありません。
このように、事業主だけでキュービクルの保守メンテナンスを行うと言うのは現実的ではありません。
かつては、国が定めた電気保安協会などの指定法人が行っていた月次・年次のキュービクルの保安点検ですが、昨今の規制の緩和により、リーズナブルでサービスも充実した民間企業の参入も目立ってきました。
なぜキュービクルは、保守メンテナンスが必要なのでしょうか?
高圧の電気を受変電し、施設内の機器に適切な電力を供給するキュービクルは、各部の部品の寿命や耐久年数を意識・考慮した保守管理が必要です。
キュービクルは、鋼板でできた外箱で覆われています。 鋼板は文字通り「鉄」ですので、腐食は避けて通ることができません。腐食して設備内に浸水したり埃の侵入が起こると、大事故に繋がりかねません。外箱の寿命は長い場合で、屋内で50年、屋外であれば30年弱だと言われています。
外箱とはまた別に、キュービクルに内蔵されている高圧機器などは、個別の管理を行わなくてはなりません。 事故電流を経験していない遮断機・負荷開閉器などは、通常15~20年程度、使い方によっては約30年間も使われているものもあります。 しかしこれは、保守点検の賜物。長期にわたってキチンとメンテナンスと検査を受けてこそ維持管理できるのです。 もちろん全ての機器が、同様に高寿命を保てる訳ではありません。事故遮断の経験や、負荷電流の繰り返し開閉があれば、必然的に短期間で想定負荷耐用を超過してしまいます。
また高寿命による長期利用が、必ずしも良いとも限りません。なぜならメーカーの製品絶版により、長期間使用した高圧機器の交換部品が入手不可になるケースもあるからです。 キュービクルの内蔵機器は「永久には使えない」ことを意識しましょう。故障・交換による「長期停電」と言う事態を防ぐためにも、定期的な部品交換と計画的な運用が大事になってきます。
定期点検で「絶縁低下」や「異音・異臭」「焦げ跡」などが見つかり、未然に大事故を防げることも珍しくはありません。このように定期点検を受けないで、内部不良が発生していることに気が付かずに遮断機や開閉器を使い続けると、遮断時や負荷開閉時にアークを消弧できず、恐ろしい「短絡事故」が発生する場合もあります。
高圧ケーブルや母線などのケーブル類は、屋内で30~40年、屋外であれば20~30年で寿命を迎えます。このようなケーブルは被膜で覆われているため、目視での異常確認は事実上、不可能です。精密点検での異常確認時は勿論のこと、各ケーブルの耐用年数も念頭において整備計画を立ててください。