キュービクルと受電契約のまとめ
1. 自前で管理する小規模変電所のことをキュービクルという
2. 電力会社との契約には「高圧受電」「低圧受電」がある
3. 「高圧受電契約」の締結には、キュービクルが必ず必要
4. 電気会社の変電設備などを使用しない高圧受電契約は、電気が安価になる
おおまかなキュービクルの導入背景と概要は、ご理解いただけましたか? 続いてキュービクルを施設内で導入・稼働いただく際に、重要になるメンテナンスについてご説明いたします。
工場や多目的ビル(テナントビル)等はその規模に応じて、照明器具・ヒーター・モーターといった電気設備が備わっています。
電気設備を動かすには当然電気が必要ですが、通常このように電気を大量に消費する施設は、電力会社と個別に電気の購入契約を行います。 照明器具・ヒーター・モーターといった電気設備は、100Vもしくは200Vといった低電圧で稼働しますが、必ずしも電力会社が供給する電圧が電気設備に適合するとは限りません。
需要家(電気やガスなどの消費者)の消費規模や電力会社による配線設備などの状況、地理的な状況によっても、電力会社から供給される電気が異なります。この際50kWと言う数値が、電力会社から高圧受電を要請される一つの目安となります。もし高圧受電を要請されますと、別途で高圧受電設備が必要になります。
キュービクルとはこの電気を高圧で受電するための機器一式を、金属製の外箱に収めた物の総称です。
コンデンサ(電気を溜める装置)その他の保安装置などの機器一式も兼ね備え、電気の流れを制御・管理する設備で、鋼鉄製の外箱で覆われています。
電力会社より6,600Vで受電した電気を、キュービクル内で、100V又は200Vといった電圧や、業務用である105Vや210Vの電圧に変圧し、施設に供給。
工場や工作・制作施設、多機能ビルなどに留まらず、郊外型の飲食店やコンビニなどでも使用され、受電が50kVA以上4,000kVA以下と言った容量が比較的中小規模な、施設の変電設備として利用されています。
▶︎ 計器類
「電力量」「電流」「電圧」などの表示や測定を行う。
▶︎ 開閉器類
短絡電流が流れた際や、点検・補修時に電流を遮断・開閉する。
▶︎ 保護装置
過電流や地絡(電線路の電流が何かしらの理由で地面と接する現象)が起こった時に、機器の保護や過電流の制御・抑制などを行う。
▶︎ 変圧器
高圧で受電した、電気の変圧を行う。
▶︎ 計器類
使用方法によって異なりますが、通常は20~30年間の耐用年数を誇り、個体によっては40年以上に渡って使用されるキュービクルもあります。 ただしキュービクルも他の工業製品と同様、JIS(日本工業規格)による様々な規格が定められていますので、注意が必要です。
ちなみにJISの規格改訂により、06年4月以降、高圧標準トランスのメーカー出荷品はトップランナー対応品のみとなりました。そのため内蔵部品であるトランスの新品価格が大幅に上昇、それと同時に新品キュービクルの価格も高騰しています。
キュービクルは過度な使われ方をされていない限り、設置から10年未満の個体であれば、いわゆる「リユース」(再利用)も可能です。
上記の理由から山田電機では不用キュービクルの買取対象を、製造より原則10年未満のものと規定しています。
電力会社は自社発電所で作った50万ボルトを上回る、電気を高圧電線を使って電力の中継点でもある変電所まで送電し、大規模工場や電鉄会社やビル・テナント、病院や学校そして一般家庭などへそれぞれの用途容量に合わせて変電し休みなく送り続けています。
中でも工場や店舗・オフィスなどで電気を大量に使用する場合は家庭で使う電気と異なり、電力会社と個別に利用契約を結ぶことになります。
電力会社との個別契約は、「低圧受電契約」と「高圧受電契約」という2種類の契約に大分されます。
中でも大多数の電力を消費する一環家庭や小規模店舗などでは、個別で使用する電気はそれほど多くありません。そのため受電容量を50kWまでとした「低圧受電契約」を電力会社と締結しています。「低圧受電契約」では、電力会社の管理のもと電柱などに設置されたトランスで100V(電灯)と200V(電力)に変圧された電気を受電・使用することになります。
※最近では電灯(100V)・動力(200V)それぞれが50kW未満で、双方の合計が100kW未満であれば「弾力供給」という受電制度も利用できるようになりました。
それと引き換え電灯(100V)・動力(200V)それぞれが50kW以上で双方の合計が100kW以上の大量の電気を消費する工場やビルなどの施設では、電力会社と高圧受電契約を結ばなければなりません。
高圧受電契約では電力会社から電気を6,000ボルトという高圧で受電することが可能になりますが、電気が高圧なため受電した電気をそのまま使うことができません。 そのため自前の変電設備であるキュービクルの導入が必要になります。
キュービクルの導入で電気料金削減
このように多くの電気を使う工場・施設・店舗などでは、高圧受電設備であるキュービクルを設備することで「高圧受電契約」に変更し電機単価を引き下げ、電気料金を大幅に削減することができます。
1. 自前で管理する小規模変電所のことをキュービクルという
2. 電力会社との契約には「高圧受電」「低圧受電」がある
3. 「高圧受電契約」の締結には、キュービクルが必ず必要
4. 電気会社の変電設備などを使用しない高圧受電契約は、電気が安価になる
おおまかなキュービクルの導入背景と概要は、ご理解いただけましたか? 続いてキュービクルを施設内で導入・稼働いただく際に、重要になるメンテナンスについてご説明いたします。
電気は現在のビジネスシーンにおいて欠かすことのできない動力源であり、なくてはならないインフラです。しかし電気は非常に便利な反面、使い方を誤れば、自社だけでなく周囲・地域も巻き込む大参事をもたらす可能性を秘めたエナジーでもあります。
大容量の電気を必要とする施設・設備にとって高圧電流を24時間休みなく受電制御するのに欠かすことのできないのがキュービクルです。 キュービクルの導入は電気料金の大幅な削減につながりますが、同時に管理・メンテナンスなどの保安責任も負うことになります。 法的にもキュービクルの保安点検は「電気事業法」で定められています 。
電力会社と高圧受電契約を結び、キュービクルなど高圧受電設備を設置することで、電気代の単価を引き下げることが可能です。電気代は各電力会社のプランにより異なりますが、一般的に低圧受電契約を100とすると、高圧受電契約後は50~70%の引き下げが可能になることが多いようです。
もし事業主さまが、2店舗以上の複数店舗でご商売を展開されているとすると、キュービクルの導入と高圧受電契約を行うことで、年間数百万円以上の電気料金の削減に繋がるかもしれません。 ※別途キュービクルの購入施工費や保守・メンテナンスが必要にはなります。
キュービクルは概ね2種類に分類されます。
このキュービクルの特徴は、受電方式がシンプルでキュービクル自体をコンパクトにできることから、コストパフォーマンスに優れていることです。構造としては、主遮断装置にLBSと呼ばれる高圧交流負荷開閉器を使い、PFと呼ばれる高圧限流ヒューズが付いています。PF-S形キュービクルは、万一事故電流が生じた場合、遮断機のヒューズが熱により切断されることで事故電流を遮断します。
そのため、ヒューズが切れるたびに新しい部品に交換する必要があります。
このようにPF-S形キュービクルは、繰り返し電流を遮断できる装置ではありません。
導入の選定基準は、使用するキュービクルのトランス(動力・電灯変圧器)の総容量が300kVA以下か否が、ポイントになります。
このキュービクルの特徴は、PF-S形と異なり繰り返し電流の遮断を行うことができることにあります。 構造としては、主遮断装置にWCBと呼ばれる真空遮断器を使用します。また多くの場合WCBの2次側に高圧ヒューズが付いた負荷開閉器が接続されます。これにより、高圧ヒューズとWCBとの保護の併用が可能になり、停電範囲を限定的にすることもできます。 導入の選定基準は、使用するキュービクルのトランス(電灯変圧器)の総容量が300kVA以上4000kVA以下であることが、ポイントになります。